DATA ANALYSIS / FANZA DOUJIN

FANZA同人で二次創作の規制強化は本当?
販売終了1,397作品をデータで検証

2026年7月末ごろから、XなどのSNSで「FANZA同人の二次創作作品が販売停止になっている」「パロディ作品(≒二次創作)の扱いが変わったのではないか」という声が目立つようになりました。

サークル側からは販売停止に関する報告が相次ぐ一方、FANZA同人公式から今回の対象範囲や理由を説明する一般向け発表は確認できていません。そこで、同人ラボが蓄積する販売データから実際の動きを検証します。

先に結論:今回のデータから確認できたこと
  • 販売終了1,397作品のうち、1,080作品(77.3%)がパロディ作品(≒二次創作)だった。
  • 同時期の母集団と比較すると、パロディ作品(≒二次創作)の販売終了検知率はオリジナルの約9.8倍だった。
  • パロディ作品のタイトルから二次創作元を確認すると、エヴァンゲリオン関連が少なくとも395作品確認でき、他作品を大きく上回った。
  • 販売終了の検知は7月末〜8月上旬に大きく集中し、7月30日〜8月6日の8日間だけで870件に達した。
  • ただし、パロディ作品全体が販売停止されたわけではなく、「二次創作の一律禁止」と呼べる状態ではない

そもそも、FANZA同人で何が噂になっている?

2026年7月末、複数サークルのSNSで「FANZAからパロディ作品の取り扱い方針見直しの通知を受けた」「二次創作作品が販売停止になった」とする報告が相次ぎ、特にエヴァンゲリオン関連の停止が話題になりました。Xのトレンドページにも、この話題が記録されています。 一方、2026年8月16日時点で、FANZA同人公式から今回の対象範囲や理由を説明する一般向け発表は確認できていません。

販売終了の検知は、7月末〜8月上旬に集中していた

1,397作品を初回の販売終了検知日で並べると、7月末〜8月上旬に大きな山が現れました。

2026年7月13日から8月16日までの販売終了初回検知件数。7月30日から8月6日に870件が集中している。
販売終了の初回検知件数(日別)。7月30日〜8月6日の8日間に870件、全体の62.3%が集中しました。
この記事でいう「販売終了検知」とは

このグラフで数えている「販売終了検知」は、同人ラボが一度「販売中」と観測した作品を後日再確認し、その時点で販売終了していたことを確認したものです。

同人ラボはデジタル同人作品44万件超の作品情報・販売状況を継続観測しており、今回は2026年7月中旬〜8月中旬に販売終了状態を検知した1,397作品を分析しています。観測間隔は長い場合で約2週間あくため、検知日=実際の販売終了日とは限りません

7月30日〜8月6日の8日間だけで870件。今回確認した販売終了作品の62.3%にあたります。期間を7月29日〜8月10日まで広げると1,154件で、全体の82.6%です。

前述のとおり、検知日と実際の販売終了日には最大で2週間程度のずれがあり得るため、「7月末の特定日に一斉措置が行われた」とまでは断定できません。ただ、SNSで「7月末ごろに二次創作作品がまとめて販売停止になった」という報告が相次いだ時期と、同人ラボで販売終了検知が急増した時期は一致しています。観測周期による時間差を考慮しても、7月末の一斉停止という噂と、データ上の変化は時期的に重なっていると言えます。

最も大きな偏りは「パロディ作品(≒二次創作)」だった

一方、創作区分の切り口で見ると、隔たりは明らかです。ここでは、同人ラボの作品区分「パロディ」を、二次創作作品の傾向を見る比較軸として使用します。以降、意味を明確にしたい箇所では「パロディ作品(≒二次創作)」と表記します。

販売終了1,397作品の内訳は、パロディ作品(≒二次創作)1,080作品(77.3%)、オリジナル315作品(22.5%)、判定不明2作品でした。

ただし、販売終了作品の中にパロディが多いというだけでは十分ではありません。そもそも市場にパロディ作品が多ければ、販売終了作品にも多く含まれるからです。

そこで、観測期間が極端に短い2026年8月発売作品を除き、2024年5月〜2026年7月発売作品を母集団として販売終了検知率を比較しました。

オリジナル作品とパロディ作品の販売終了検知率比較。オリジナル0.12%、パロディ1.14%。
オリジナル/パロディ別の販売終了検知率。パロディ作品はオリジナル作品のおよそ9.8倍でした。
作品区分対象作品数販売終了販売終了検知率
オリジナル268,3373130.117%
パロディ94,5321,0771.139%

パロディ作品(≒二次創作)の販売終了検知率はオリジナル(≒一次創作)の約9.8倍でした。さらに発売月ごとに分けて確認しても、2024年5月〜2026年7月の27か月すべてで、同月発売のパロディ作品の終了率がオリジナルを上回っています。

少なくとも今回の観測範囲では、パロディ作品が販売終了群に明確に過剰に含まれていることは、かなり強く確認できたと言えるでしょう。

パロディの中でも、エヴァンゲリオン関連が突出

では、販売終了したパロディ作品(≒二次創作)は、特定の二次創作元に偏っていたのでしょうか。

販売終了を検知したパロディ1,080作品について、タイトル中の作品名や、他作品と区別しやすいキャラクター名などから二次創作元を確認しました。曖昧なタイトルや、伏字が強く元ネタを特定できないものは無理に分類していません。

販売終了したパロディ作品の二次創作元。エヴァンゲリオン395件、葬送のフリーレン21件、このすば11件など。
販売終了パロディ作品の二次創作元を、タイトルから比較的確実に特定できた範囲で集計。伏字・曖昧なタイトルは未分類としています。

その結果、エヴァンゲリオン関連と比較的確実に確認できた作品は少なくとも395作品ありました。

一方、エヴァ以外のIPもタイトルから確認できます。少なくとも81作品でエヴァ以外の元ネタを確認でき、主な内訳は『葬送のフリーレン』21件、『この素晴らしい世界に祝福を!』11件、『ソードアート・オンライン』9件、『To LOVEる』6件、『その着せ替え人形は恋をする』4件、『原神』4件でした。そのほか、『SPY×FAMILY』『Fate/FGO』『とある』シリーズ、『リコリス・リコイル』『僕のヒーローアカデミア』『鬼滅の刃』なども確認されています。

つまり、エヴァ以外の二次創作も販売終了群に含まれており、「エヴァ関連だけが販売終了した」というわけではありません。 ただし、タイトルから判別できた範囲では、エヴァンゲリオン関連の件数は他の二次創作元と比べて桁違いに多く、今回の販売終了波の大きな特徴になっています。

この集計はタイトル文字列だけを使った保守的な推定です。キャラクター名を伏せている作品や、汎用的なタイトルだけでは元ネタを特定できない作品も多いため、各IPの実際の件数はこれより多い可能性があります。また、複数IPを含む作品はそれぞれのIPとして数える場合があります。

消えたのは古い作品だけ? 発売時期を確認

もちろん、大量の作品が削除されたというだけであれば、たまたま「古い作品を定期的に整理した」時期が重なっただけという可能性も考えられます。そこで、販売終了1,397作品を発売月別に並べてみました。

販売終了を検知した作品の発売月別件数。2024年から2026年まで幅広く分布している。
販売終了作品の発売月別件数。2024年発売247作品、2025年発売644作品、2026年発売506作品でした。

販売終了を検知した作品は、2024年発売が247作品、2025年発売が644作品、2026年発売が506作品でした。発売から販売終了検知までの日数は中央値298日(約10か月)で、発売後90日以内に販売終了を検知した作品も289件(20.7%)あります。

このデータからは、「何年も前の古い作品だけを整理した」という傾向は読み取れません。 販売終了を検知した作品は2024年から2026年まで幅広い発売時期に分布しており、対象作品は特定の世代だけに集中していません。

なお、発売時期が新しいほど件数がやや多く見えますが、このグラフは各月の発売本数や、観測開始まで販売が続いていた作品の割合を補正した「販売終了率」ではありません。古い作品ほど同人ラボの観測開始前にすでに販売終了していた可能性もあるため、この傾斜だけから「最近の作品ほど終了しやすい」とは判断できません。ここで確認できるのは、販売終了の対象が幅広い発売時期にまたがっているという点です。

作品形式の違いで説明できる?

次に疑うべきなのは作品形式です。たとえば、販売終了作品にはCG集が多いため、単に「CG集の終了率が高く、そのCG集にパロディが多い」だけかもしれません。

そこで、CG集・漫画・動画・ゲームそれぞれの中で、オリジナルとパロディの販売終了検知率を比較しました。

CG集、漫画、動画、ゲームの作品形式別にオリジナルとパロディの販売終了検知率を比較したグラフ。
作品形式別の比較。CG集だけでなく、漫画・動画・ゲームでもパロディ側の販売終了検知率が高くなっています。

CG集では0.08%対1.18%、漫画では0.18%対0.79%、動画では0.34%対1.32%、ゲームでは0.11%対2.30%。主要形式のすべてでパロディ側が上回りました。

形式ごとに差の大きさは異なりますが、「パロディ作品にはCG集が多いから高く見える」という説明だけでは、この差を説明しきれません。

AI利用有無との関係も確認

では、AI利用の有無はどうでしょうか。AI作品に対する運用変更と今回の販売終了が混同されている可能性も考え、オリジナル/パロディとAI利用有無を組み合わせて比較しました。

オリジナルとパロディをAI利用なし、AI利用あり、AI一部利用に分けた販売終了検知率比較。
AI利用有無と作品区分を組み合わせた比較。オリジナルではAI/非AIの差が小さく、パロディ群で高くなっています。

オリジナルでは、非AIが0.12%、AIが0.10%でほぼ同水準でした。一方、パロディでは非AI0.97%、AI1.16%、AI一部利用2.35%です。

AI一部利用のパロディは母数が1,065作品と他群より小さいため、その2.35%だけを過度に一般化するのは適切ではありません。オリジナルではAI利用の有無による差はほとんど見られません。一方、パロディではAI利用作品の方がやや高く、AI一部利用ではさらに高い数値となっています。 ただ、その差よりもオリジナル/パロディ間の差の方がはるかに大きく表れています。少なくとも、今回の販売終了の偏りを「AI作品への対応」だけで説明することは難しそうです。

「一部サークルの撤退」「売れない作品の整理」でも説明できる?

販売終了は557サークルに分散

販売終了1,397作品は557サークルに分散しています。最も多いサークルでも50作品(全体の3.6%)で、上位10サークルを合計しても18.3%でした。

つまり、数サークルが大量に作品を引き上げただけで1,397件になった、という構図ではありません。

販売数ゼロの作品ばかりでもない

販売終了作品について、同人ラボが最後に確認した累計販売本数の中央値は90本でした。100本以上販売されていた作品が48.2%、1,000本以上も4.8%あります。販売数0本は3.1%でした。

もちろん、売れている作品でもサークル側が自主的に販売終了することはあります。この数字だけで停止理由は判別できません。ただ、「ほとんど売れない作品だけが整理された」という説明とも合いにくい結果です。

二次創作サークル側で「自粛」が広がった可能性もある

もうひとつ考えておく必要があるのが、サークル側による自主的な販売終了です。

今回のデータでは、作品が販売終了したことまでは分かりますが、FANZA側が直接停止したのか、サークル自身が販売を取り下げたのかは区別できません。もし一部サークルへの通知やSNS上の販売停止報告を受けて、他の二次創作サークルも同種の作品を自主的に取り下げていたとすれば、その動きも同人ラボ上では同じ「販売終了」として観測されます。

そのため、7月末〜8月上旬の大きな販売終了波には、FANZA側の直接的な対応だけでなく、二次創作サークル側で自粛が進んだ影響が含まれている可能性もあります。現時点のデータだけで、その割合を切り分けることはできません。

結局、「FANZA同人で二次創作の規制強化」は本当なのか

ここまでの結果から、かなり明確に言えることと、まだ言えないことを分けて整理します。

データから言えること

  • 7月末〜8月上旬に販売終了検知が大きく増えた。
  • 販売終了作品の77.3%がパロディだった。
  • 販売終了作品は2024年〜2026年の幅広い発売時期に分布している。
  • 母集団比較でもパロディの終了率はオリジナルの約9.8倍だった。
  • 作品形式を揃えてもパロディ側の終了率が高い。
  • タイトルから特定できた範囲では、エヴァンゲリオン関連作品が突出して多い。
  • AI利用有無だけでは今回の販売終了の偏りを説明できない。

データだけでは言えないこと

  • 個々の作品がFANZA判断で停止されたのか、サークルが自主的に終了したのか。
  • 権利者からの申し立てがあったかどうか。
  • エヴァンゲリオン関連が突出した理由が、FANZA側の方針、権利者側の対応、サークル側の自粛のどれによるものか。
  • この傾向が今後も継続するのか。

また、タイトルから二次創作元を確認すると、エヴァンゲリオン関連が少なくとも395作品と突出していました。SNSでエヴァ関連の販売停止が特に話題になったことと、データ上でもエヴァ関連作品が多数含まれていたことは整合します。ただし、これだけで「エヴァを対象とした一斉措置だった」と断定することはできません。

「二次創作が一律禁止された」わけではない

ここは比較的はっきり言えます。2024年5月〜2026年7月発売のパロディ94,532作品のうち、今回販売終了を検知したのは1,077作品、約1.14%です。

逆にいえば98%以上のパロディ作品では販売終了を検知していません。したがって、少なくとも2026年8月16日時点の観測データを見る限り、FANZA同人で二次創作作品が一律に販売停止された状態ではありません。

その一方で、販売終了した作品だけを見るとパロディへの偏りは非常に大きく、作品形式を分けても差が残ります。「二次創作が一律禁止された」は否定できる一方、「パロディ作品の取り扱いに何らかの変化があったのではないか」という疑問には、データ上も無視できない根拠がある――というのが現時点で最も妥当な読み方です。

まとめ:一律禁止ではない。ただし、パロディ作品(≒二次創作)への偏りは明確

今回、デジタル同人作品44万件超のデータベースを使い、2026年7月中旬〜8月中旬に販売終了状態を検知した1,397作品を分析しました。

その結果、販売終了作品の77.3%がパロディ作品(≒二次創作)で、母集団と比較した販売終了検知率もオリジナルの約9.8倍でした。さらに、作品形式を分けてもパロディ側の終了率が高く、タイトルから二次創作元を確認したところ、エヴァンゲリオン関連が少なくとも395作品と突出していました。

一方で、パロディ作品の98%以上では販売終了を検知しておらず、「FANZA同人で二次創作が一律禁止された」という状況ではありません。

現時点で最も無理のない整理は、「二次創作の一律禁止は確認できない。一方、7月末〜8月上旬に、パロディ作品(≒二次創作)、とりわけエヴァンゲリオン関連を多く含む販売終了の波が観測された」というものです。

ただし、そのすべてがFANZA側による直接的な停止だったとは限りません。一部の販売停止や通知を受けて、二次創作サークル側でも自主的な取り下げ・自粛が広がった可能性があります。FANZA側の対応、権利者側の動き、サークル側の自主対応がそれぞれどの程度を占めるのかは、現時点の公開情報と販売データだけでは切り分けられません。

同人ラボでは今後もデジタル同人市場の動向について観測・分析していきたいと思います。

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本記事の集計値は2026年8月16日時点の同人ラボデータベースに基づきます。

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